ことだま日誌

失語症カラオケ大会が開かれました

Hbtkms

2025/09/28.Sun
第4回 失語症の皆様のカラオケコンテスト~『失った言葉を歌に乗せて』

がYouTubeで配信されました。
主催の倉谷 嘉広(くらたに よしひろ) さんは、5年前にお仕事中に脳出血で倒れ、失語症を発症されました。入院中を含め、ご自身の様々なリハビリ体験の中で「歌」の可能性を感じ、今回の企画を進めていらっしゃいます。

SNSはもちろん、全国を積極的に回って、失語症者や私たち言語聴覚士にエネルギーをくださるパワフルなお方で、「失語症全国大会 in ぎふ」にも参加してくださいました。

失語症と歌

失語症になっても、歌が歌えた!

という事は、臨床経験上よくよく遭遇する、驚きの場面です。

話そうとすると、なかなか思うように声が出なかったり、滑らかにしゃべれなかった方が、歌を歌おうとすると朗々と、流暢に歌われるという事に、私たち医療者や家族はもちろん、ご本人も驚いている、ということがよくありました。

「ことば」と「歌(音楽)」の不思議な関係と言えます。

誰にでも当てはまる事ではないので、「失語症者でも歌は歌える!」とひとくくりにすることはできませんが、「音楽」が、ことばを引き出す上でのひとつのカギとなりうることは、言語聴覚士としても大いにうなずけることでもありました。

カラオケ大会の開催

そうした、「ことば」と「音楽」のアツい関係を、ひとつの社会的なムーブメントとして体現されたのがこの「失語症カラオケ大会」です。

2025/10/3(金)に、倉谷さんがNHKのラジオに出演されお話してみえましたが、「上手い・下手」ということよりも、ご自身のストーリーを歌に乗せて「社会に発信するという事が」とても大きな意味だということです。(聞き逃し配信はこちら10/10(金)まで)

もちろん、「歌う」ということ自体が、とてもとても楽しい!ということが大前提にあります。

失語症というのは、自分の思いを、思うように表現できないもどかしさに、常に向き合っていなければならない辛さがあります。時には、人と関わることに後ろ向きになってしまうということも少なくありません。

そんな中、「楽しい」を大事にしつつ、社会に向けて失語症についても発信する取り組みという事は、私たち言語聴覚士も大いに学ばせていただく事でした。

開催にあたっては、倉谷さんはじめ、関係各位大変なご苦労もあったかと思いますが、歌をきっかけに、こうした輪が広がっていることがとても嬉しく思います。ありがとうございました。

失語症と音楽 を考える

もともと、音楽と失語症リハビリという可能性はずっと感じていることではあるのです。

私自身が合唱指揮をしていることもあって、何か音楽と掛け合わせた取り組みができないものかとも感じています。それこそ、合唱団とかできるといいんだけどなーと。

・声を出す
・メロディーを作る
・メロディーに歌詞を乗せる

というのは、失語症のリハビリとしても、とても大事な要素を含む良いリハビリになると思います。(歌の練習をすれば、話せるようになる!と直結する問題でもないのですが。)

カラオケ大会にインスピレーションを受けて、あれこれ考える日々です。。

ABOUT ME
ひびたかまさ
ひびたかまさ
言語聴覚士/公認心理師/旅行介助士/臨床宗教師
生活の隣にいるSTを目指して、2022年に寺子屋ことだまを始める。
ことばのリハビリが主な仕事。
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