肉まんを、安全に食べるには?
食べる力、飲み込む力が低下することで、元気な時と同じように食事ができなくなる状態の事を「摂食嚥下障害」といいます。
有名な所では、水分にとろみをつけたりして飲んでいただくのですが、今回のお悩みは「肉まん」でした。
肉まん・・・
寒い日に、アツアツの肉まんを頬張るのは、とても幸せなひとときなのですが・・・
肉まんを構成する要素
肉まんを、分解してみると
➀周りのまんじゅう部分
➁中の餡部分
に分かれます。
摂食嚥下について考えるときに、まずもってやっかいなのが、こうした「複数の要素の合わせ技」なのです。例えば、「お茶漬け」なんかは、難易度MAXの難しさ。
健康な私でもむせるくらいですから、いわずもがな、かと。
で、合わせ技に対応する前に、まず、それぞれの要素に対処できるかどうかを考えます。
➀周りのまんじゅう部分
これは、肉まんの種類にもよりますが「パン」に近い食品ですね。もう少し、もちっとしているかもしれません。あるいは、すこし粘りがある、とも言えるかもしれません。
この部分だけを口に含んで感じることは「口の中がもさもさする」「唾液とまざると、すこしべたっとする」などでしょうか。
柔らかいので「咀嚼」という点ではそれほど困難ではないかもしれませんが、舌を上手に器用に使わないと、まとめたり、送り込んだりすることは難しそうです。
➁中の餡部分
これはこれで、いろいろな食品が混ざっているので、厳密にはそれぞれの食品の形質についても注意が必要なのですが、特に、ひき肉の密集具合やスジ感、あるいはタケノコなど特に硬い食品の有無などに留意します。
こちらは、少し咀嚼力が必要かもしれませんが、肉の塊とは違うので、頑張れば下で押しつぶせる程度かもしれません。
また、あふれる肉汁、、、などということになると、今度は水分についてのチェックも必要になったりしますよね。なかなかハードルが多いです。
これらを総合的に判断し、OK! or NG! を判定していくわけですが、一旦NG!となったとしても、あきらめないでください。
「肉まんをそのまま、通常通り食べる」ということがNGなのであって、
「では、どう工夫すれば食べれるのか?」という、次の議論に写っていくわけです。
どう対策するか?
➀咀嚼
➁口の中でまとめる
➂送り込む
④飲み込む
と段階的に進んでいく中で、何を、どのようにサポートすれば肉まんを食べれるのかを考えます。
対策1 刻む
サイズ感は要検討ですが、一番オーソドックスなのは、1口大に刻む。
一口大といっても「一口に入る最大量」を攻めるのではなく、ちょっと少なめなのでは?という控えめサイズで考えておいてください。「いや、確かに入るけど・・・」という一口大を、よく拝見しますが、丁重にお待ちいただき、2分割、3分割させていただいております。
場合によっては、細かく刻むという事にもなりますが、あまりやりすぎると、もはや「肉まん」ではなくなってしまうかもしれません。どの程度を攻めるかは、主治医や言語聴覚士などとの相談かと思います。
対策2 分ける
これは、一部で非難ごうごうの対策だったのですが、「まんじゅう部分」と「餡部分」を分けて召し上がっていただくという対策です。
まず、餡を食べ、
ごくんと飲み込んでいただいたら、つぎ、「まんじゅう部分」を食べていただく。
もちろん、一口量には要注意です。
「一緒に食べるから美味しいのに!」というのも、よくよく分かりますが、冒頭に述べた通り、食べる事の危険性のひとつが、「様々な形質の食品を同時に処理する事」だったりするのです。合わせ技に対処することができないのであれば、分割して対処する、という方法です。
対策3 とろみ
これも、提案すると眉をひそめられる対策のひとつなのですが、とろみをつけるという対策です。ここで言うとろみつけは「あんかけ」状態にすることを指します。
この「肉まん」、口の中でばらけたり、パサついたり、べたついたりということが、食べにくさの大きな要因。この食べにくさをサポートする「つなぎ」の役を担うのがこの「あんかけ」です。もちろん、どんな「あん」をかけるかは少し注意が必要かと思います。本来の肉まんの味を邪魔するような、濃い味のあんをつかってしまうと、せっかくの肉まんが台無し。
とろみのお湯などを使っていただいた方が、この場合はよいかもしれませんが、あまり多いと、味がぼやけて満足感が得られにくいという事もあるかもしれません。塩梅が難しいところです。
対策を、合わせ技で
そして、食品の食べにくさに対する工夫も、いくつかの対策を合わせて使用していただくのが大切です。細かく切り分けて、あんかけにする、とか。
そのままの形で食べられないという残念さはあるかもしれませんが、何らかの工夫によって、同じものを同じ食卓(場)を囲んで食べられるということも、大切な喜びだと思います。
ぜひ、〇か、✕か、の二元論ではなく、「どうすれば、チャレンジできるか?」を話し合ってみていただけると、それをきっかけにコミュニケーションが深まったり、食の新しい楽しみの発見につながるかもしれませんね!

