脳卒中になり、運動麻痺や感覚麻痺が後遺症として残るという話は、よくご存じの方が多いと思います。しかし、そうした明確な麻痺がなくても、失語症を始めとした高次脳機能障害を持ちながら生活することは、心身ともに大変な疲労感に苛まれるものです。
・何気なく声をかけるだけなのに、その一言を発する事に今まで以上にエネルギーを使う。
・周囲の雑踏の音が、選別されずに全部同じ重みで聞こえてくる
などなど。
今まで、ウォーキングや軽いランニング程度のペース感で生活していたのが、常に全力疾走であらねばならないような辛さとも言えるかもしれません。
そして、それは、「あと1週間」とか、「〇月△日まで」と、期限の定められたものではなく、それが日常となることで、徐々に、ストレスや疲労が、知らず知らずに蓄積されてしまうという事が良くあります。
当事者の方のセルフケアはもちろん大切ですが、もし、ご家族を始め、身近な方が、少しケアのお手伝いをできるとすれば、それはとてもありがたいことなのではないでしょうか。
アロマやマッサージなど、いろいろな業種・いろいろな資格が世の中にあふれていますが、今回は「介護リハビリセラピスト」というケアの通信講座についてご紹介します。
個人的な見解ですが、失語症にせよ、高次脳機能障害にせよ、運動・感覚麻痺にせよ、家や家族がリハビリセンターやリハビリの先生になるということは、あまり好ましい状況ではないと考えています。
家は、あくまで家で、やすらぎの「安全基地」であるべきだと思っているのです。
ついつい、頑張ってしまいたくなるのでご家族も一生懸命になってしまいますし、それはとても尊いことですが、例えば少し視点を変えて、リハビリの先生などにはできない関わり方をするということは、大切なことだと思っています。
家や、家族は、できるだけホッとできる存在であってほしい。
そんな中、具体的な関わり方の一例として、見つけた資格です。
ゴリ推ししたいわけではなく、当事者さんのために、何かできる事がないかと焦る気持ちがあるご家族の皆さんの、選択肢の1つになればと思っています。
「日本介護リハビリセラピスト協会」という団体が主催している資格で、介護アロマやマッサージ、ハンドマッサージの基礎知識と技術を習得するための講座。
「介護アロマ」という言葉は、聞きなれませんが、医療用語ではなく、それぞれの協会などが、特色を活かして、特に高齢者の体のケアなどに留意した施術内容にアレンジした内容ということになります。
・アロマテラピー
・マッサージ、ハンドマッサージ
といった、それぞれの分野の、介護・高齢者向けの良いとこ取りの資格と言えるかもしれません。
受講方法は2種類あって、
・通信講座:
通常受講料 44,000円
→ネットからのお申込み割引・一括支払いで、29,800円(税込み)
認定試験料込・送料無料
分割払い例:月々1,444円×24回
・1日講座:
49,800円(テキスト、DVD、アロマビタミンオイル、認定証代、消費税込)
※値段的には、29,800円は安く見えますが、体を触る事なので、個人的には実際講座が良いと思います。
<資格取得の理由>
独学ももちろん良いのですが、資格化されていて、講座もセットになっているということは、情報がそれだけ整理(洗練)されているという事でもあります。
逆に、最低限の情報しかない、、、とも言えるかもしれませんが、スタートラインとしてはありなのではないかと思います。
追加の学びは、その後で良いのです。
また、この講座の場合、最短1日でおわるという、時間の制約の短さも魅力です。
例えば、通信講座で有名な「ユーキャン」のアロマテラピー1級・2級講座は
一括払い 55,000円
分割払い 3,980円×14回 (14ヵ月):総計:55,720円
で、凡そ3ヵ月での資格取得を目指すコースです。
内容は非常に充実していますが、ちょっと時間がかかりすぎますし、何より、アロマテラピーに特化したいわけじゃない、というタスキに長い印象があります。
通信講座の内容を見てみると、
1日の対面講座では、「実技」中心となり、座学はDVDなどで自己学習となるそうですが、対面で受講の場合は認定試験が免除されるようです。
プロになるわけではないけれど、ケアの勉強をするのに、どこから手を付けて良いのかわからないといった時には、早くコンパクトに受講できるという点で、ちょうどよいサイズ感なのではないかと思います。
また、こういう勉強をして実際に体にふれる経験をすると、自分の体との違いや、思いもよらぬところに疲れがたまっていることに気づく良いきっかけにもなりますよね。
見えない障害と言われる失語症や、高次脳機能障害でも、それが疲れとして体に出てきたものは、見ることができます。もし、何かしたいけれど、何をしたらよいのかわからない!と悩んでおられるご家族や支援者の方がいらっしゃれば、リハビリの先生ではなく、セルフケアや相互ケアの引き出しを増やすということに目を向けてみてはいかがでしょうか。